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 日本から見えない、あるいは見えてもギリギリの地平線上には、見事な
天体がいくつもあります。今回は全天ナンバーワンとナンバーツーの、
球状星団をご紹介しましょう。

 球状星団と言うのは、その名の通り、ボール状にたくさんの星が集まって
いる星団で、どの銀河系にも100~数百個あります。1677年にあのエドモンド
・ハレーによって発見された時には、星雲と思われ、それでもなぜか、その後
バィエル星図にはωCenと、恒星名で掲載されました。

 1000万個に近い年老いた恒星の大集団で、あともう少しだけ大きければ、
大小マゼラン雲に次ぐ、わが銀河系第3の『伴銀河』となったことでしょう。
赤緯-47度にあるので、日本からでもギリギリで、南の地平線上に見ることが
出来ますが、やはり南緯45度のクィーンズタウンで、天頂に仰ぎ見たときの
迫力とは、比較になりません。

 カタログ番号はNGC5139と言いますが、メシエカタログには含まれていません。
3.7等級なので肉眼でもよく見え、双眼鏡でも、ぼんやりしたヒトダマ(笑)
のような姿が見えます。

 望遠鏡で倍率を上げていくと、何倍で見てもそれぞれに見事な姿となり、
外縁部からザラザラした感じで、星が分離して見えてきます。現在は使用して
いませんが、20cm F8ニュートン鏡が健在だったころ、天頂にあるオメガ星団を
200倍くらいで眺めていると、本当に無数の星の大集団であることがわかり、
ゾクゾクしてきたものでした。


 もう一つはカタログ番号NGC104と言い、あの小マゼラン雲のそばにあるので、
一緒に望遠レンズの撮影対象になります。こちらは赤緯-72度なので、日本からは
まったく見えませんが、クィーンズタウンでは、周極星となって、年中いつでも
見ることが出来ます。

 こちらもきょしちょう座47番星(47 Tuc)と言う、恒星名が付けられています。
星の大集団であることを発見したのは、南天の星座をたくさん紹介したラカイユ
で、1751年のことでした。

 星の集中度から言えば、こちらの方がより密集しているように見え、双眼鏡や
望遠鏡の低倍率では、それが一層よくわかります。まだフィルムの時代に、撮影
したNGC104の写真が、クィーンズタウン郊外のアロータウンにある、博物館の
館長の目に留まり、展示させてほしいと言われました。

 博物館に展示、などと言うと名誉なことなので、ミーハーな私は二つ返事で
OKしたのですが、見に行って仰天しました。なぜか宇宙の始まりであるビッグ
バンのイメージとして紹介されていたのです。そう言われてみれば、中心から
無数の光の塊が放射されているように、見えないこともありません。